コラムColumn

2021年09月26日

子どもの起立性調節障害とインターネット依存

コロナ禍が長引き、自宅にいる時間がますます長くなる生活のため
体調を崩し、学校に行けなくなるお子さんが増えています。

最近増えている「起立性調節障害」と「インターネット依存」についてまとめました。

<起立性調節障害について>

朝、なかなか起きられない。
午前中元気が無く、無理に起こすとめまい、立ちくらみ、動悸、だるさ、頭痛、腹痛などを訴える。
午後や夜になると元気になりスマホやテレビを楽しむことができる。

こういったお子さんは「起立性調節性障害」かもしれません。

この障害は、10-16歳の思春期のお子さんに多く、成長に伴い自律神経の調節がうまくいかないことが原因です。
立ち上がった時、ふつうは重力で下半身に血液が集まらないよう自律神経が働くのですが、それがうまくいかず脳に行く血液が少なくなってしまうのです。

疑う場合は、貧血や甲状腺の病気など他の病気が隠れていないか検査を行いつつ、実際に寝た状態から起き上がって血圧をはかる「新起立試験」などを行って診断します。

治療は簡単に言うと以下のようになります。

・病気の理解(「怠け癖」ではなく自律神経の異常であることを本人、周囲が理解する)
・立ち上がるときに頭を下げながらゆっくり立ち上がる
・下半身を鍛える(歩行、スクワット、階段昇降などを毎日行う)
・自宅にいるときもなるべく横にならずに体を起こす
・水分を1.5-2L程度とる
・塩分も多めにとる
・夜は眠くなくても早めに寝る

血圧を上げる薬や、漢方薬を使うこともあります。

重症の方や、他の問題(不登校や発達障害など)を併発する場合は専門の小児科へ紹介しています。

詳細は以下のホームページをご参照ください。
日本小児心身医学会ホームページ「起立性調節障害OD」
https://www.jisinsin.jp/general/detail/detail_01/

<インターネット依存>について

次に、子どもの「インターネット依存」についてです。
今や、スマートフォンやパソコン、タブレットは私たちの生活にはなくてはならないものになっています。
しかし、SNSやインターネットゲーム、動画サイトなどにのめりこむあまり、非常に長時間をネットで費やすことが社会的な問題になっています。

仕事や家庭、学校生活に支障が出たり、インターネットにアクセスできないことに強い不安感を感じたりする場合はインターネット依存になっている可能性があります。
「インターネット依存」は確立された診断基準がなく、治療法も定まっていませんが、国内では久里浜神経センターが研究を開始しています。

インターネット依存(嗜癖)について
https://kurihama.hosp.go.jp/hospital/section/internet.html

スクリーニングテスト
https://kurihama.hosp.go.jp/hospital/screening/

わが家の子供たちも例外ではなく、
最近どんどんiPadを見る時間が長くなり、寝る時間が遅くなってきました。
口うるさくいっても、なかなかやめることができないので本人と相談してルールを決めました。

日本小児科学会ではメディア(スマホ、パソコン、テレビなど)に触れる時間を1日2時間以内にすることを推奨しています。

私が娘と決めたルールは以下の通りです。
(我が家はスマホはまだ与えていないのでiPadを使ってYouTubeを見ることが多いです)

iPadを見る時間は、平日は1時間、土日は2時間まで
・宿題またはお手伝いをやってから
・夜9時以降はiPadを見ない

iPhone、iPadでは「スクリーンタイム」を設定することでアプリの使用制限を行うことができます。
https://kurihama.hosp.go.jp/hospital/section/internet.html

Androidでは「ファミリーリンク」を使って制限ができます。
https://support.google.com/families/answer/7103340?hl=ja

ご家族で話し合い、ルールを決めることや、なかなか守れない場合は制限をかけることをお勧めします。

「お母さんばっかりスマホ見ていてずるい」と言われたことがあります。制限をするのなら、親も子供の前ではなるべくスマホをいじらないようにした方が良いかもしれません。