コラムColumn

2021年07月24日

子供の便秘

新型コロナウイルスの影響で運動不足となり、便秘のお子さんが増えていますね。

お子さんの便秘についてまとめてみました。

 

「便秘」とは

以下のいずれかがあれば便秘です。

  • 便がとどこおった状態(何日も便が出ない。排便が週に2回以下)
  • 便が出にくい状態(いきんでも出ない、排便時に痛みで泣いてしまう)

小学生の18%(男の子13% 女の子24%)、女子高生の31%に便秘があるといわれています。とてもありふれた病気です。

正常な排便とは

硬さ:ブリストルスケール(図)で3~5(普通便~やや硬い便またはやや軟らかい便)が苦痛なく出る

回数:週に3回以上排便がある(できれば毎日、少なくとも2-3日に1回は排便がある)

便秘の治療の目標は正常な排便に近づけることです。

図:ブリストルスケール

 

便秘になりやすい時期

  • 母乳から人工乳、離乳食への移行期(6~9か月)
  • トイレットトレーニングの時期(2~4歳)
  • 小学1年生になり学校に通い始めたころ。

 

お医者さんに行ったほうがいい時

  • くり返し吐く
  • 血便が出る
  • 便秘のために体重が増えない
  • おなかが異常にはっている
  • おなかを痛がる

上のどれかがある時はただの便秘ではないかもしれません。早めにお医者さんに相談しましょう。

 

便秘を改善する生活習慣

  • 十分な水分摂取、早寝早起き、適度な運動
  • 規則正しくバランスのとれた食生活
  • 便意を感じたらがまんせずトイレに行く

 

トイレットレーニングについて

  • 便秘があるときは無理をせず、便秘が治るまで遅らせましょう。
  • トイレにすわるところから始めましょう。失敗しても叱らないようにしましょう
  • トイレにカレンダーを置き、うまくいったらシールをはるなどごほうびをあげましょう。

食事について

  • 十分に水分を取りましょう。1日1リットル~1.5リットル程度
  • ヨーグルトなど乳酸菌を取りましょう。
  • 食物繊維:1日に年齢+5グラム必要といわれています。
  • 食物繊維の多い食べ物:海そう類(わかめ、ひじき)、きのこ、野菜(ゴボウなどの根菜類、キャベツなどの葉物類)、イモ類、豆類、果物
  • 牛乳を大量に飲むと便秘になりやすいといわれています。飲みすぎに注意。
  • ソルビトールを含むジュース(りんご、梨、プルーン)は排便をうながします。

病院での治療

まずは宿便(出口につまった固い便)を取りのぞきます。

かたい便が出口で詰まっているときに、お薬を飲んでも、おなかが痛くなってしまうだけです。このような時はまずは浣腸や座薬で出口に詰まった便(宿便)を取り除きます。

おうちでやるなら、イチジク浣腸(子供用)がおすすめです。

小さい赤ちゃんの場合は綿棒浣腸が効くことがありますが、4-5か月になるとあまり効果がなくなります。

自宅で浣腸をするのが難しいときはいつでも診療所に来てください。

 

便秘の治療薬(下剤)

浣腸だけでスムーズに便が出るようになるお子さんもいますが、多くのお子さんは便秘をくりかえすため食事に気を付けたり、下剤を定期的に飲む必要があります。

下剤には浸透圧下剤(便をやわらかくする薬)と刺激性下剤(腸を動かして排便をうながす)があります。

浸透圧下剤にはラクツロース、酸化マグネシウム、モビコールなどがあります。

おすすめはモビコールです。粉末状のお薬で1袋を60mlの水分に溶かします。塩気があって飲みにくいのでリンゴジュース、オレンジジュース、味噌汁、スープなどに溶かすのがおすすめです。(私の娘は毎日レトルトの卵スープに溶かしておいしく飲んでいます)

刺激性下剤はセンナ(アローゼン)、センノシド、ラキソベロン(液体)があります。浸透圧下剤でうまく排便が出ない時に追加で内服します。

 

参考資料:

「小児慢性機能性便秘症ガイドライン」

 

便秘のご相談は当院医師まで

鹿浜診療所 03-3912-8491