- 2021年07月26日
風邪の時の過ごし方(2021年バージョン)
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2021年になり、お子さんたちの間でいろいろな風邪が大流行しています。コロナ禍による外出自粛で1年間ほとんど風邪をひいてこなかったお子さんも多いと思います。
風邪の治療やホームケアについて知っておいてほしいことを書きました。
そもそも風邪ってなあに?
のどの痛みから始まって、鼻水、せき、熱が出る風邪。赤ちゃんの頃からくり返しかかってパパママを悩ませる風邪の正体は「ウイルス感染」です。世の中には無数のウイルスがありますが、赤ちゃんはまだそれらに対する免疫がないのでなんどもなんども風邪を引きながらだんだん強くなっていきます。診断方法の進歩により「インフルエンザ」「アデノ」「RS」など風邪にも色々な名前がつくようになって来ましたが、昔は全て「風邪」とひとくくりにされていました。
風邪に抗菌薬(抗生物質)は効きません
昔はよく風邪に対して抗菌薬(抗生物質)が出されていました。しかし、抗菌薬は「細菌」をやっつけるお薬で、そもそもウイルス感染である風邪には効きません。日本では不必要な抗菌薬が長年風邪に処方されて来た歴史があり、そのために抗菌薬が効かない菌(耐性菌:たいせいきん)が広まって問題になっています。また、抗菌薬にはアレルギー反応や下痢など、副作用が出る可能性があります。気軽に飲んで良いお薬ではありません。
医師は外来でお子さんをみる時、「抗菌薬が必要な病気かどうか」(下記参照)をいつも見定めています。
風邪薬について
基本的に風邪は、自分の力で治すしかない病気です。
風邪の時に医者が出す薬は「せき止め」「鼻水止め」「熱冷まし」など症状をやわらげる薬です。医師の薬は治るまでの間、楽に過ごせるようにするお薬なのです。
風邪には漢方薬が意外に効くことがあります。私の子供たちはふつうの風邪薬が苦手で飲んでくれないのですが、漢方薬はよく飲んでくれるので、風邪の時は漢方薬のお世話になっています。
風邪の時のホームケア
風邪の時には栄養、水分をとってよく休むことが何より大事です。熱が高くてぐったりしているときは熱さましを使ってあげましょう。(多少熱があっても食欲があり元気ならば使わなくて大丈夫です。)
せきがひどい時には赤ちゃんの場合はたて抱きをしたりして体を起こしぎみにしてあげると楽になります。2歳以上のお子さんには水を飲ませたり、ハチミツを人さじなめさせてあげるとせきがやわらぎます。(注意:0歳児にはハチミツは与えてはいけません)ビックスベポラップ®も効果があるという研究があります。鼻水はとにかく取ってあげるしかありません。最近では手軽な吸引器がドラッグストアやネットで手に入るようになりました。お風呂上がりに鼻水がやわらかくなった時に行うと良いでしょう。鼻水止め(抗ヒスタミン薬)は熱性けいれんを起こしやすくするという報告もあるため、小さいお子さんには使わないことが多いです。
こんな時には病院に受診を
高熱(38度以上)が3日以上続くとき
せきが重くなって来た時(せきで寝られない、はいてしまう、呼吸が苦しそう・・・)
食事がとれずぐったりしている時、ミルクや母乳の飲みが悪い時
パパママの目から見て「明らかにいつもとちがう」と思ったら受診しましょう。
予防はうがい、手洗い、マスク(2歳以上)、予防接種
風邪はくしゃみやせきで飛び散ったウイルスが目や鼻、口に入ることでうつります。(ひまつ感染)うがいと手洗いがやはり基本です。マスクは、ウイルスを飛び散らせないために有効ですが、2歳未満のお子さんはちっ息の恐れがあるためつけないほうが良いです。
月齢に応じた予防接種をきちんとおこなうことが大事です。冬の前にインフルエンザの予防接種もできる限り行っておきましょう。
新型コロナウイルス感染症を疑うとき
お子さんの場合、コロナにかかっても軽い風邪症状しか出ないことがおおいため、風邪とコロナを症状だけで見分けるのは難しいです。
小学生以下のお子さんが単独で新型コロナウイルス感染症にかかることはまずありませんから、周りの大人(両親、保育園の先生など)が発熱している場合は要注意です。中学生以上のお子さんの場合、部活などで集団発生する場合もあります。
疑った場合は当院でPCR検査(唾液、鼻腔)を行うこともあります。
抗菌薬が必要な時はどんな時?
お子さんにおいて抗菌薬が必要なのは ①のどの溶連菌感染症 ②中耳炎(中等症以上)③肺炎 ④細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん)⑤尿路感染症 です。これ以外の風邪はウイルスが原因なので基本的に抗菌薬は効きません。
せきが長引くのはどうして?
風邪のお子さんで、せきが2−3週間以上長引く事があります。よくある原因は「感冒後咳嗽」(かんぼうごがいそう)です。風邪の後、気管支に炎症が残りせきだけ続いてしまう状態です。RSウイルス感染症の場合、治った後もせきが続くことが多いです。
アレルギー体質のお子さんの場合「喘息」や「喘息様気管支炎」かもしれません。夜間悪化するせきやゼーゼーを伴うせきの場合は医師に相談してください
いつから登校・登園してよいの?
37.5℃以上の熱があるとき、咳がひどい時、食事が十分食べられない時は休ませましょう。朝熱が下がっても夜になるとまた熱が上がることがあるため、24時間は様子を見ましょう。RSウイルスや溶連菌感染症、水疱瘡などは登校(登園)許可証が必要なので診断した医師に相談してください。