コラムColumn

2022年03月20日

5-11歳の新型コロナワクチン について

足立区でも3月から5-11歳のお子さんへのコロナワクチン接種が始まりました。
当院でも3/23から接種を開始します。スケジュールは0.2mlの筋肉注射を3週間あけて2回です。

打つことを迷ってらっしゃる方も多いと思いますので現時点でわかっていることや当院としての考えをお話ししたいと思います。

子供の感染は増えているの?
第5波、デルタ株まではコロナは大人の感染症でしたがオミクロン株に置き換わってからは「子供もかかる感染症」に変わりました。
2022315日現在、最も感染者が多いのは10歳未満と10代、続いてその親世代(30-40代)となっています。
参考:厚生労働省 データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-

子供がコロナにかかるとどうなるの?
多くのお子さんは無症状、または数日の発熱、咽頭痛、頭痛、倦怠感などが出現して回復します。
届出のデータによると、中等症~重症となるお子さんは1000人に1-2名程度と非常に少ないですが、それでも、感染者が多くなることで、入院患者は増えています。
死亡者は3/15現在0-9 歳で2名、10-19歳で7名となっています。これは子供に流行する他の感染症と比べると相対的に少ない数字です。(例:RSウイルス感染症は年間30名程度のお子さんがなくなっています)

コロナウイルスの合併症、後遺症について
MIS-C:発症後2-6週間後に起こる小児多系統炎症症候群(MIS-C)が報告されています。これは、川崎病に似た発熱、発疹、結膜充血にくわえ、胃腸症状、ショック症状などをきたすもので、国内ではまだ報告が少ないですが、海外では1万人に2-6人程度の頻度と言われており、今後注意が必要です

後遺症(long-COVID):4週間以上続く症状(倦怠感、咳、呼吸困難、味覚障害など)が10-15%程度に見られます。ほとんどが自然に回復しますが、未だ治療法は確立していません。

新型コロナワクチン の有効性について
ファイザーワクチン2回接種による新型コロナウイルス感染症への予防効果は
デルタ株までは90%以上ありましたが、オミクロン株では30−50%程度まで低下しています。入院予防効果は70%程度あると言われています。

新型コロナワクチンの副反応について
米国の報道によると、副反応は2回接種直後の軽微なものでは、腕の痛み71.0%、疲労39.4%、頭痛28.0%、関節痛5.2%38度以上の発熱6.5%となっています。16-25歳の人と比べると全体的に副反応の頻度は低いようです。
2回目接種後の心筋炎の発症頻度は12-29歳の男性(100万人あたり40-70人程度)に比べると5-11歳の男児では頻度が低いようです(100万人あたり4.3人)
米国ではすでに800万人以上の5-11歳の小児が接種していますが、今の所重大な副反応は報告されていません。

それでも、打った方がいいの?
日本小児科学会は「511歳の健康な子どもへのワクチン接種は12歳以上の健康な子どもへのワクチン接種と同様に意義があると考えています」と、接種を進めています。
新型コロナウイルス感染症が子どもの健康に与える影響は小さいものの、多くの学校や保育園が閉鎖になるなど、社会への影響、子どもたちの教育や発達に与える影響は少なくありません。
当法人でも、保育園で感染したお子さんから職員が次々に感染し、慢性的な人手不足になっています。感染者を減らし、社会の機能を維持するために子どもたちに協力してもらう必要があると考えています。
また、重症化しやすい基礎疾患を持ったお子さん(呼吸器疾患、心疾患、腎臓病、肝疾患、血液疾患、悪性腫瘍、脳性麻痺、肥満症など)や家族に高齢者などハイリスクな方がいる場合は積極的に打つことをお勧めします。

参考:日本小児科学会 5-11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方

新型コロナワクチン と他のワクチンの接種間隔は?
他のワクチンは接種間隔を2週間(中13日)開けて行うことができます。

コロナにかかってしまったらワクチンはどうなるの?
感染することで抗体は一時的に上がりますが、3ヶ月程度で下がってしまうため、かかったことがある方も接種をお勧めします。合併症のMIS-C2-6週間後に起こる可能性を考え、2ヶ月程度あけてから打つことをお勧めしています。

アレルギー体質だけど打ってもいいの?
接種できない方はワクチンの成分に対して強いアレルギー反応(アナフィラキシーなど)を起こしたことがある方です。ワクチンの成分(ポリエチレングリコール)は下剤などに含まれています。それ以外の食物や薬にアレルギーがあっても接種は可能です。心配な場合は主治医とご相談ください。

打った後、副反応が出たらどうしたらいいの?
発熱、倦怠感、頭痛などほとんどの副反応は翌日に起こり、2日程度で収まります。
接種翌日は自宅でゆっくり休み、副反応がつらければ手持ちのカロナール、市販の小児用バファリン(3歳から)などを使ってください。
手持ちがない場合はお電話にてご相談ください。(あらかじめ処方することはできません。)
接種3日後になっても発熱が続く場合は副反応ではない可能性もありますので発熱外来を受診してください。

さらに知りたい方のために
厚生労働省 新型コロナワクチン Q&A