- 2020年01月8日
風邪の時の過ごしかた
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こんにちは。鹿浜診療所の所長の平山陽子です。2歳と7歳の子育てをしながら「家庭医」をやっています。
このコラムでは、育児にちょっと役立つ健康にまつわるお話を書いて行きます。気軽にお読みください。そもそも風邪ってなあに?
のどの痛みから始まって、鼻水、せき、熱が出る風邪。赤ちゃんの頃からくり返しかかってパパママを悩ませる風邪の正体は「ウイルス感染」です。世の中には無数のウイルスがありますが、赤ちゃんはまだそれらに対する免疫がないのでなんどもなんども風邪を引きながらだんだん強くなっていきます。診断方法の進歩により「インフルエンザ」「アデノ」「RS」など風邪にも色々な名前がつくようになって来ましたが、昔は全て「風邪」とひとくくりにされていました。
風邪に抗菌薬(抗生物質)は効きません
昔はよく風邪に対して抗菌薬(抗生物質)が出されていました。しかし、抗菌薬は「細菌」をやっつけるお薬で、そもそもウイルス感染である風邪には効きません。日本では不必要な抗菌薬が長年風邪に処方されて来た歴史があり、そのために抗菌薬が効かない菌(耐性菌:たいせいきん)が広まって問題になっています。また、抗菌薬にはアレルギー反応や下痢など、副作用が出る可能性があります。気軽に飲んで良いお薬ではありません。
医師は外来でお子さんをみる時、「抗菌薬が必要な病気かどうか」(コラム1参照)をいつも見定めています。
風邪薬について
風邪の時に医者が出す薬は「せき止め」「鼻水止め」「熱冷まし」など症状をやわらげる薬です。風邪は、自分の力で治すしかない病気です。医師の薬は治るまでの間、楽に過ごせるようにするお薬なのです。風邪には漢方薬が意外に効くことがあります。平山の子供たちは風邪薬が苦手で飲んでくれないのですが、漢方薬はよく飲んでくれるので、風邪の時は漢方薬のお世話になっています。
風邪の時のホームケア
風邪の時には栄養、水分をとってよく休むことが何より大事です。熱が高くてぐったりしているときは熱さましを使ってあげましょう。
せきがひどい時には赤ちゃんの場合はたて抱きをしたりして体を起こしぎみにしてあげると楽になります。2歳以上のお子さんにハチミツ(注意:0歳児にはハチミツは与えてはいけません)やビックスベポラップ®も効果があるという研究があります。鼻水はとにかく取ってあげるしかありません。最近では手軽な吸引器がドラッグストアやネットで手に入るようになりました。お風呂上がりに鼻水がやわらかくなった時に行うと良いでしょう。
こんな時には受診を
高熱(38度以上)が3日以上続くとき、せきがだんだん重くなって来た時、食事がほとんどとれずぐったりしている時、パパママの目から見て「明らかにいつもとちがう」と思ったら受診しましょう。
予防はうがい、手洗い、予防接種
風邪はくしゃみやせきで飛び散ったウイルスが目や鼻、口に入ることでうつります。うがいと手洗いがやはり基本です。月齢に応じた予防接種をきちんとおこなうこと、冬の前にインフルエンザの予防接種もできる限り行っておきましょう。
(コラム1)
抗菌薬が必要な風邪に似た病気・・①のどの溶連菌感染症 ②中耳炎(中等症以上)③肺炎 ④細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん)だけです。これ以外の風邪はウイルスが原因なので基本的に抗菌薬は効きません
(コラム2)長引くせき
風邪のお子さんで、せきが2−3週間以上長引く事があります。よくある原因は「感冒後咳嗽」(かんぼうごがいそう)という、風邪の後、気管支に炎症が残りせきだけ続いてしまう状態です。
アレルギー体質のお子さんの場合「喘息」や「喘息様気管支炎」かもしれません。夜間悪化するせきやゼーゼーを伴うせきの場合は医師に相談してください。
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